インタビュー

水野雄太

INTERVIEW 12

サクソフォン奏者水野 雄太さん

1992年10月22日生まれ。愛知県名古屋市出身。
県立熱田高校を経て、昭和音楽大学音楽学部器楽学科演奏家コースを卒業。
2018年より「水野雄太 Saxophone Hour」と題した企画などを行い、クラシックのスタイルでサックスを演奏している。

音楽こそが僕の中の最高のリフレッシュ
僕から音楽をなくせば電源がオフになる。

まずは水野さんご自身についてお伺いしたいのですが、趣味はなにかありますか?

趣味はゴルフです。

ゴルフ!かっこいいですね!私はゴルフについて疎いのですが、スコアはいくつくらいなんですか?

僕はまだまだなんで、100切るか切らないくらいですね。まず100を切るのが目標です。

100切るか切らないかって結構すごいですよね...?
休日はよくゴルフに行かれるんですか?

そうですね。最近はあまり行けていないんですけど、休日ってなるとゴルフ行きたいなってなりますね。

なぜゴルフにはまったのか伺っても良いですか?

ゴルフのいいところは沢山あります。音楽とゴルフって結構密接に関わってると思います。
まずはスコアを切るという見えやすい目標がある。その目標にチャレンジしていくというのがひとつ。
ふたつめは自分自身のメンタルが全部出る。絶対(あ、これ右行くな~)と思ったら右行っちゃうし。音楽も一緒で次に出てくる指の難しいメロディーがあるとするじゃないですか。それも(失敗しちゃう)と思ったらやっぱり失敗しちゃう。
いかに集中して無心でやるかが大事なんですよね。演奏前もゴルフのショットの前も、その場所に立って集中するというのが結構似てるなと思います。

ゴルフについて語る水野さん

サックス奏者の水野さんですが、普段聴かれる音楽はどういった音楽なんですか?

クラシックが多いですが、サックスの曲のみならず、ヴァイオリンやオペラ、オーケストラなど違う楽器の曲も聴きます。

聴く音楽が全部かっこいいですね。あまり j-pop とかは聴かないんですか?

あまり聴かないですね。恥ずかしながら、米津玄師さんの「Lemon」はこの間初めて聴きました(笑)

クラシックに強いんですね。1番好きな作曲者はどなたですか?

バッハですね。

なぜバッハがお好きなんですか?それと、お好きな曲もあれば教えていただきたいです。

好きな曲はいろいろありますが、”主よ人の望みの喜びを”です。
♪~(水野さんが歌ってくださいました)

主よ人の望みの喜びを

あ、聴いたことあります、その曲!

大好きなんですよ。
この曲も12月9日に行うリサイタルで演奏します。

ぜひとも聴いてみたいです!バッハの好きだ!と思うところはどこですか?

バッハのいいところは音楽がすごくシンプルというのを教えてくれる。
音があってリズムがあってハーモニーがあって...それらが合わさって音楽になっていくんですけど、バッハの音楽はすごく精神性が高い。
精神性が高くて、人間ってこうだよね、というのを音楽で表しているんです。
だからずっと何百年もの間、大切に受け継がれているし、今聴いても古いとか思わない。
常に色褪せないんです。そういった精神性の高いものに惹かれます。

ックスとの出会いから成長まで

水野さんはいつからサックスをはじめたのでしょうか?

高校の吹奏楽部でサックスに出会ってからです。

結構最近なんですね。どういった活動をなさってたんですか?

年に1回定期演奏会というのがありました。どこの高校の吹奏楽部もやってると思うんですけど、僕らの高校もやっていてそれが思い出に残ってます。青春ですよね。
高校2年生の時、1番最後の定期演奏会でソロを吹かせてもらったことがすごく印象に残ってます。

学生時代の思い出に残る演奏のほかに印象に残ってるコンサートはありますか?

浜松で”浜松国際管楽器アカデミー”というものがあるのですが、世界中の管楽器、トランペット・トロンボーン・サックス・フルート等の名だたるトッププレイヤーの先生方が集まってレッスンをしてくださる場です。
そのレッスンを受けることができるようになって、各クラスの先生が代表者を1人推薦して選ばれた人が演奏する”講師推薦プレミアムコンサート”というものに自分が選ばれて演奏させていただいたことが印象に残っていますね。

なぜそのコンサートが印象に残っているんですか?

演奏している瞬間、自分の全てが出し切れて全力を出せたコンサートでした。集中しているというより、無心で吹いてる時間でした。
お客様が何百人か居て、その中には世界で活躍されている先生方もいらして...。
そういった場面は緊張するじゃないですか。でもその時、緊張していなくて、本当にただただ音楽を無心で演奏していました。あの瞬間の自分は神がかっていたな、と(笑)
それって、オリンピックと似てるなと思ったんですよね。アスリートがオリンピックに向けてどれだけ練習してきて、どれだけ準備を重ねてきてもその瞬間に自分の全力を出せなかったら金メダルは取れない。全力を出しても金メダルを取れるかはわからないけど、自分が全力を出さないと金メダルは取ることができない。あの時自分は金メダルを取れたような気持ちでした。そしてコンサートに出演したプレイヤーの中から、さらに選んでいただき「第13回浜松若きヴィルトォーゾコンサート」でも演奏させていただくことができました。

サックスとの出会いを語る水野さん

縁に飾った1ドル札

ツイートを拝見したんですが、アメリカへ行かれてましたよね。なにか学べたところはありましたか?

アメリカはいろんな感覚の違いを感じました。自由自由と言いますが、あの自由な感覚は日本にあまりないなと思いました。
地下鉄のホームで電車を待っている男性が、いきなり鞄からフルートを取り出してアストル・ピアソラの曲を真剣に練習し始めたのを見たときは驚きました。

アメリカへ渡ってなにか印象に残った出来事はありましたか?

セントラルパークはいろんな人が楽器を吹いてたりするので、僕も練習しようと思ってサックスを吹いていたら、黒人の女性の方が寄ってきてくれたんです。目があったので僕もニコニコしながら吹いていたら”なにか演奏して”という感じを受けたので、それこそバッハを吹きました。
そうしたら、それまでニコニコ笑って聴いてくれていた彼女がすごい真剣な眼差しで見てくれて。吹き終わってありがとうとお礼を伝えにいったら彼女がアクションを起こそうとするんです。
何するのかな?と思ったら鞄の中から財布を出して1ドルをくれたんですよ。「あなたストリートミュージシャンなの?」と聞かれて「僕は日本でクラシックをサックスで吹いているものです。今回アメリカへ来ていて、気持ちよかったのでここで吹いていました」と答えたら「あなたの演奏は素晴らしかった、感動した!」と褒めていただいたんです。そこはハーレムという場所で、ゴスペルやジャズが栄えている地域だったので普段クラシックのサックスなんてあまり聴かないじゃないかと思うんですけど、それでもバッハを聴いてくれてすごい感動したって言ってくれたんです。僕はその頂いた1ドル札が1ドル以上の価値あるものをもらった気がして、音楽ってこういうもんだよなって感じた瞬間でした。その1ドル札は家で額に入れて飾ってます。(笑)

アメリカでの物語を語る水野さん

水野さんの中でサックスで苦労したことはなんですか?

自分の出したい音が出ない時にものすごい悔しいし、つらいです。

サックスでの”音が出ない”というのはどういったことなんでしょうか?

音は出るんだけど、「もっとこういう音が出したい」という思いがあるんです。
例えば優しい音とかもっと煌びやかな音とか暗い音とか曲にあったイメージで吹いてるんですけど、自分の出したいイメージがありながら、表現したい音が出せない時というのがつらいですし、悔しいです。

では、その”音が出せないとき”、水野さんはどうやって克服するんですか?

僕は初心に帰って管楽器の基礎的な練習をします。ピアノだったらドレミファソラシドって音階を弾くじゃないですか。僕らもサックスで同じように音階を練習したり基礎的な練習をします。基礎的な練習をするというのは多分建物を作るものと一緒だなって思うんですけど、例えばどれだけ高い建物や大きな建物も土台の基礎工事がちゃんとしてないと良い建物は建てれないじゃないですか。その上に高いとか美しいとかありますよね。大事なのはやっぱり基礎がしっかりしていて、その上に自分の表現があるということ。初心に帰って基礎的な練習をしてそこからもう1度練習し直す。そうやって基礎に戻ると、自分の出したい音が出てくるようになります。

自身の苦労の乗り換え方を語る水野さん

2018年12月9日、自身のデビューリサイタルにむけて

水野さんの今後の活動と目標についてお伺いします。
今後の1番の目標はなんですか?

12月9日にリサイタルがありまして、そこで自分が大事にしているクラシックのサックスの音色をたくさんの人に聴いてほしいし、高校生で出会って魅了され、僕がいいなって純粋に思った音を他の人にも聴いてほしいし、それをいいなって思ってくれる人がもっとたくさん増えてくれるといいなって思います。演奏会を成功させたいですね。

その成功はどこを目指していますか?

自分のしたい音楽を120%表現する、というのも1つの成功ですし、あとやっぱりお客さんに喜んでもらう、幸せになってもらう「今日来てよかった」「今日は本当に豊かな時間だった」と思ってもらうことが成功だと思います。
1番はそれで、今後の大きな目標は僕らしいサックスの音色を多くの人に聴いてもらうこと。ちなみにサックスって言うとどんなものを思い浮かべますか?

ソウルとかジャズとかですかね・・・?

サックスってやっぱりジャズとかソウルを思い浮かべますよね。もちろんそこから花開いた楽器なのでそう考えると思うんです。クラシックと言うとヴァイオリンやチェロ等を思い浮かべてサックスはあまり思い浮かべない方が多いと思います。
けどサックスもクラシックの中で本当に素敵な音色が隠れてるんです。なのでその音色を聴いてもらいたいなと思います。

サックスの格好良いオーケストラの曲教えてください。

”ボレロ”はご存知ですか?この曲は中間にサックスのソロが入っています。
最初はフルートのソロでどんどん大きくなって、曲の中盤でサックスのソロが入ります。この曲はぜひ聴いてもらいたいです。とても格好良いんです、テンションが上がるといいますか、聴いてる方も演奏者も気分が高揚する曲です。

サックスのクラシック音楽について語る水野さん

野雄太×建築

お父さまが建築のお仕事に携わっているそうですが、水野さんご自身から建築業界はどう見えますか?

単純にかっこいいって思います。小学校の時、卒業文集に書いた将来の夢”建築家”ですもん。(笑)
父がそういう仕事をしていたというのもあるんですけど、今でも美しい建築物を見るのが大好きで、例えば丹下健三さんとか黒川紀章さん、辰野金吾さんとか。いろいろな建築家がたくさんいらっしゃると思うんですけど、そういった建築家の方達が美しいものを造って人を感動させる、幸せにする。もうかっこいいって思うしかないですよね。

将来の夢、建築家だったんですね!意外です。
どういったところに惹かれたのかお伺いしてもよろしいですか?

最近よくこの職業はAIが取って代わるとか言ったりするニュースがあるじゃないですか。でも建築も音楽もコンピューターじゃなくてその人が設計したり、演奏するから価値があると思うのです。その人が造るから価値がある。人が設計して建てて物を造っていくお仕事ってやっぱりすごいことだと思うし、それって誇りだと思うんです。こんなでっかいもの、こんな美しい建物俺が作ったんだぜ!って後世に残していける職業って素晴らしいと思います。

建築業界に挑戦してみようとする方へエールをください!

ものをつくる職業ってやっぱり素晴らしい職業だと思います。音楽を創って届けていく。建物を造って届けていく。美しいもの、豊かなもの 、繊細なもの、色々あると思うんですけど、創造してクリエイティブなものをつくっていく。それってやっぱり並大抵の普通のことではできないことですよね。
自分の仕事に常に誇りを持って頑張っていってほしいです!

水野さん、インタビュー協力ありがとうございました

自身のリサイタルポスターを持って

こちらのインタビューに対し終始にこやかに答えてくださった水野さん。
この歌知っていますか?と水野さんから質問があった際、アカペラで歌ってくださる対応も。
さらに水野さんは身長182cmとかなりの高身長さわやかイケメン!
インタビューの途中、手を見させていただいたのですがとてもきれいな手で感動いたしました。

手を見せてくれる水野さん

水野さんのサックス・音楽に対する素晴らしい愛を中心に建築のことも織り交ぜながら楽しく伺うことができました。
そんな水野さんは12月9日(日)にデビューリサイタルを開催いたします!詳しくは下記にて詳しく確認できます。
私もぜひクラシックのサックスの音色が聴きたくなりました!9日が楽しみです♪
水野さんのSNS/ブログはこちらから!
水野雄太 twitter
サックス水野雄太のブログ

水野雄太デビューリサイタル

YUTA MIZUNO SAXOPHONE RECITAL
2018.12.9(sun) OPEN 13:30 / START 14:00
ザ・コンサートホール
一般 3,000円 / 学生 2,000円(当日は500円増し)
【チケット取り扱い】
電気文化会館 052-204-1133
愛知県芸術文化センター 052-972-0430
名古屋市文化復興事業団 052-249-9387
Music Office Nobuchi 052-265-7405
ヤマハミュージックリテイリング名古屋店 
ドルチェ楽器 名古屋店 052-218-6377
中善楽器 0563-56-3939
バルドン・フィルステージ 
植村楽器 052-722-1682
【各お問い合わせ】
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