インタビュー

小野 俊法

INTERVIEW

小野 俊法さん

MARATHON CAPITAL PARTNERS 代表取締役
日本プロ経営者協会 代表理事

もともと不動産ファンドにいらっしゃった小野さんですが、M&AやPEファンドへキャリアチェンジしたきっかけなどがあったのですか?

そうですね、もともと親族が不動産業をやっていたりと小さい頃から馴染みがあったので、大学卒業後不動産ファンドの会社で投資の仕事をスタートしました。不動産ファンドのお仕事としましては街を作っていくとかではなくて、安い時に不動産を買って価値が高くなったときに売るっていう流れなんですよね。その建物を売るまでの間に、その建物に入居する人が少しでも高い賃金を払ってくれるようなビルになるような工夫をするっていうのが一つの技なんです。物件を借りる前の内見で見られる部分、エントランスだったり、エレベーター、共有部分などを綺麗にメンテナンスしておくと、買った時ボロボロだった建物でも建物自体のニーズが高くなって、高い賃料に設定しても入居してくれる方が多くなるんですよ。でも逆にいうと、そうやって綺麗にメンテナンスすることくらいしかやることがなくてですね。2年くらい経験したら、ずっとやっていきたい仕事ではないなと思ったんです。そう感じていたところで後から話す起業をしたのですが、その後企業のファンドがあるってことを知って、ずっと不動産ファンドでやっていくよりも、異なる業種への参入だったり、異業種がコラボすることで生まれる相乗効果など無限の可能性がある会社の方のファンドに入りたいなと思ったのでキャリアチェンジを決意しました。

不動産ファンドをやめてからは具体的にどういったお仕事をしていたのですか?

辞めた理由としてはバングラデシュで起業するビジネスプランがあったのでそれを実現する為でした。そのプランと同時に、せっかく不動産ファンドのノウハウがあったのでバングラデシュにはまだ無い不動産ファンドもついでにやろうという事で2つの事業を一度に立ち上げました。その当時日本では不動産ファンドが多数あって日本でやっても後発の自分では勝てないなと思ったので、バングラデシュで不動産ファンドを起業しました。それと同時にバングラデシュ出身の知人にビジネスチャンスがあると聞いてビジネスプランを練っていたセキュリティプリンティングの会社も立ち上げました。その後ある程度軌道に乗ってきたのですが、家庭の事情で日本に帰ってきてから後にその企業を売却したのですが、日本帰国後はキャリアチェンジをするためにM&Aの会社を経験した後に、PEファンドに入りました。本当は不動産ファンドからいきなりPEファンドに入りたいなと思ったんですけど、会社の株式を全て取得した様な経験もなかったのでいきなりPEファンドは難しいからまずはM&Aで経験積むのがいいよというキャリアアドバイザーのいう事を聞いて、M&Aの会社に入りました。

M&Aのアドバイザリーとしてはファンドや投資家から依頼を受けて、会社のマーケット調査をして、その中でこの会社の位置付けなのかをだったりの情報をパワーポイントにまとめてレポートを提出する仕事でした。でもパワポの作成って色とか文字のサイズとかも合わせたりしないといけなくて、私的には内容がわかればいいだろう、もっと重要な部分に時間を使いたいと思ってしまうタイプだったので、この仕事は向いていないなと感じていました。それでも、自分の目標とするPEファンドの仕事に就くために最低限のM&Aの知識を得ようと思って2年くらい在籍してましたね。そのあとご縁があって、いくつかのPEファンドからオファーを頂き、一番裁量が大きそうなファンドに入ることができ、かれこれ12年くらい在籍しました。でもPEファンドって国内では投資の中でも歴史が浅くて、歴史の長くて様々なノウハウを持っている不動産投資業界を経験した私からするとビジネスが上手な人がほぼ存在しないマーケットでした。起業してそれなりの金額で会社を売却した私からは、国内のPEファンドの常識といわれるものを無視した方が投資家さんの為にも投資先の企業様にとっても貢献できることが多いなと思えました。ですので12年かけて、色々な仕組みを試行錯誤しながら作ったりして、不動産ファンドで培った知識と経験を持ち込んでやっていったら、PEファンドの業界の中では頭ひとつ抜けるくらい収益を伸ばすことができましたし、全てではないですが、投資先の会社様にとってもこれまででは考えられない様な成長を実現できた結果も作る事ができました。

そこから自分で会社を設立しようと思ったきっかけは何かあったのですか?

実は12年前にPEファンドに入った時点で、将来は自分のファンドを持ちたいと考えていたんです。業界に入って3年位経った頃、不動産業界と比較して、この業界では想像していたよりも勝ちやすいマーケットであり、大量のニーズがあるのにきちんとできる人が全くいないので、やる意味もあると考え10年位で起業することを決心しました、実際には丁寧に引き継ぎを行ったりして12年かかりましたが。だから正直な話をすると、前職では自分の持ってる知識やアイディアを全て出したわけではないんです。独立したときに全力出してやろうと考えていたので。前職の時は、会社がうまく回るようになればいいかなくらいに思っていたので、自分の会社を設立する時のために実験をかね色々な事をやっていました。ざっくり6割位試して、4割は今の会社起業後に出し始めています。12年在籍して、ある程度仕組みができて、誰がやってもうまくいくし、誰が辞めても崩壊はしないという段階までもっていくことができることが分かったので、そのタイミングで自分の会社を設立して独立しました。

小野 俊法

マラトンキャピタルパートナーズの強みはどういうところですか?

まず1つは、プロ経営者協会というネットワークを持っていることです。いまプロ経営者候補を含めて約400人以上所属しているのですが、会社を投資の対象とするPEファンド、特に我々の様に事業承継のフェーズの会社様のお手伝いをするファンドからすると、そういった後継者のニーズが非常に高いんです。我々が投資させていただくのは全国の優良な中小企業様ですので、一番の悩みが後継者を連れてきて欲しいというオーナー様が非常に多いです。しかも、会社を買う前に連れてきて欲しいとおっしゃる方も(弊社はそれも可能なので)弊社にはとても多いです。要はオーナーさんからしたら会社を預かる株主となる会社やその社員より、これから社長として切り盛りしてくれる経営者がどんな人間なのかの方が重要なんです。いい人連れてきますから先に買わせてくださいとお願いしても、婿が誰かも分からないのに娘を嫁にあげられない親と同じ様に、これから誰が経営していくかが分からないのに会社を売れないというオーナーさんも3割くらいいらっしゃる。そういうニーズにお応えできるように、プロ経営者をプールしておけるというところが我々の強みなのかなと思っています。

2つめは、経験豊富なメンバーが所属しているというところです。私の個人の経験案件数としましては、これまでに41件の事業承継を中心とした会社を丸ごとお預かりした経験があるのですが、おそらく日本のこの業界の中でも現場にしっかり入り、オーナーさんと向き合って41件経験しているっていうのは、他にいないと思います。経験数が多いと、引き出しがどんどん増えてくるんですよね。あの時のこの事例に似ているなとか、これはこの間こうしてあまりうまくいかなかったから逆にこうしたらいいんじゃないかなとか。そういった引き出しが多いので、オーナーさんのさまざまな課題にお応えできるというところは強みだなと感じております。

3つめは私自身が事業を起こした経験があるということです。ファンドの人って金融マンだったりコンサル出身、あとはどこかの事業会社のサラリーマンだったりで、事業を新たに起こす際の極限の状態だったり、事業運営上孤独で様々な悩みを抱えながら前進する不安を切り抜ける、個人で大きな負債を負った事がある様な肝が据わった人はほとんどいないんです、オーナーさんから見ると担当はサラリーマンしか経験してないし、自分で事業なんてやったことない人が会社を良くします、とか言われてもなんだかなーと思われがちなんです。でも私はバングラデシュで自分で事業会社を起こした経験があるし、その際には億単位の個人保証も入ったりしていましたので、オーナーさんと同じような気持ちで事業やっていましたし、自分がリスクや人生をかけて作った会社を人に譲る気持ちも理解できます。そういったお話をすることで、こうした方がいいんじゃないですかとかアドバイスにも説得力を持たせることができていると思います。オーナーさんからしても、そういった経験を持っているファンドの人ってほぼ業界にいないので、ただの金融の人やコンサルの人ではなくて、同じような経験をもった貴重な存在として信頼していただけているのかなと思います。

これらの強みのおかげで、前職では直接オーナーさんから依頼される案件っていうのは全くなかったのですが、今年の4月に会社を設立して今5ヶ月なんですけど、この5ヶ月の間に、直接うちの会社をどうにかしてくれないかっていう依頼が6社くらいありました。やっぱり事業会社の創業者だったことだったり、海外でのビジネス経験がある、それに経験数が国内では最多、ということでオーナーさんからの信頼が厚いのかなと感じています。

プロ経営者協会は承継できる経営者を育てるために設立したのですか?

そうですね、育てるためとあとは、プロの経営者を1箇所に集めるために設立しました。プロの経営者としてやっていきたい人が日本全国にバラバラと散らばっていると、会社のオーナーが誰かいい人を探しているときに、やってくれる人はどこかにいるのに全然マッチングできないということがあるじゃないですか。なので1箇所に集めることで、誰か事業を承継してくれる人材を探しているオーナーさんとその仕事をやりたい個人がマッチングしやすくなるなと思って設立しました。

小野 俊法

野俊法×建設

建設業に対してどのようなイメージをお持ちですか?

地方の建設業の会社オーナー様からも7~8社くらいは事業をお預かりしたことがあるのですが、その時のイメージは、特に地方の中小企業様ではありますので地方の高齢化と相まってやっぱり年齢層が高くアナログで仕事を進めていらっしゃるケースがほとんどだなと感じることが多かったです。公共事業も多いですし、インフラのために欠かせないほんとに重要なお仕事だなと感じていますが、関わっている人の年齢がどんどん高齢化しているので、事業継承問題としての相談も非常に多い業界だなと感じております。あとは、社員の方々は非常に礼儀正しくて、教育が行き届いているというイメージですね。建設業としては、上のいうことをきちんと聞いて安全管理に努めるというのもお仕事の内だと思うので、そういった風潮の会社さんが多いのかなと感じました。

アイアールのイメージを教えてください。

他の建設業の会社さんと正反対で、いけてるベンチャー企業というイメージがあります。若い人もたくさんいて、若い幹部の方々が自分達が会社をでかくしていくんだという夢を持っていらっしゃって実際に毎年二けた以上成長しているとお聞きしておりますので、いい意味で建設業っぽくないなと思います。これまでの建設業イメージとしましては、安全第一な業界の中で、言われたことをきちんとやるっていう社員さんが多かったイメージが強かったのですが、アイアールさんは社長があれやれこれやれといわれて社員の方が従う、というよりは、現場の若い人に裁量を持たせて、自由活発にお仕事されている事で異常な程に高い成長意識を持った幹部や社員の方々が成長を目指しているイメージです、私が過去事業承継でお預かりした会社様でアイアールさん程にオーナーではない幹部の方が成長を意識して一丸となって邁進している企業は無かったと思います。現にそれで成長されていますし、みなさん目標に向かって、どのようにしたらうまくいくか自分で考えながらお仕事されてるのは素晴らしいなと思います。明田社長も従業員のことをしっかり気にかけていらっしゃって、若い人の待遇もしっかり整えていらっしゃるというところで優秀な人がどんどん集まって成長に繋がっているんだなと思っております。

建設業にこれから挑戦しようとしている人へのメッセージ

建設業にいる方の平均年齢がどんどん上がっていって若い社員のニーズが上がっているので、皆さんが想像される建設業の、暗い?イメージと逆で、若い人が活躍するチャンスがたくさんある業界だと思います。段階の世代の方々が働き盛りの昔はブラックなイメージが強かったと思いますし、人なんていくらでも替えが効く、という状況だったのかもしれませんが、最近は入ってきてくれる若者がとても貴重な存在になっているので、しっかりとした待遇を用意する、教育を丁寧にするなど大切にしようという風潮が広がってきていると思いますし、そういう若い力を大切にする会社ほど、どんどん成長し続けている印象を受けます。高齢化している業界の中で、改善していく力を持っている若者の力は強いと思いますし、建設業の中だと若い人の競争率も高くないですし、災害大国日本では建設業自体にも安定的なインフラ維持のニーズはあると思いますので、若い人にとって挑戦するのには悪くないマーケットなんじゃないかなと思います。

小野 俊法マラトンキャピタルパートナーズの砂田有史さん、小野 俊法さん、和田耕太郎さん

企業紹介

MARATHON CAPITAL PARTERS
https://www.marathoncapital.co.jp/

日本プロ経営者協会
https://www.proceo.jp/

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